副作用 2 [普通が奇跡]
東京は、それほどでもなかったけれど、
台風の直撃を受けた地方の方は大変でしたね。
14日にはお墓参りに出かけ、
15日は、図書館に出かけた。
図書館から帰ってくる途中で蝶々を発見。
急いで家に戻ってカメラを持って戻ると
何と、幸運なことに
まだ、花の蜜を吸っている。
ネットでしらべたら、
ツマグロヒョウモンという種類の蝶らしい。
美しい蝶がすぐそばでシャッターを切っても
平気で蜜を吸っている姿にドキドキした。
ツマグロヒョウモンは一頭だけだが、
ほかによく見かける小さな白い蝶が3~4頭
同じ花の上をひらひら舞っては止まって
蜜を吸っている。
こちらも調べてみると、
シジミという種類の蝶で、
ヤマトシジミかもしれない。
副作用 [普通が奇跡]
鏡の中のゾンビも、強い薬の副作用だったが、
もっと大変な副作用が身体の中で進行していた。
腎臓の尿を濾過する糸球体が壊れる
というネフローゼ症候群に罹ったが
薬のおかげでその進行が止まり、
寛解状態ということで退院したわけだが、
入院中に衰えた筋肉が日々の生活で戻ってくると、
わたしは次第に、以前と同じように動けるようになった。
とはいえ、
2か月以上の入院生活直後で、
重いものを持ったり、無理をしてはいけない身体なので、
初めておむつをあてがわれた
頑固ばあさんの介護は無理だと、
病院側がさっさと判断してくれて、
(行きつけの病院のありがたさが身に染みた)
10日ばかり入院したのち、
頑固ばあさんは、病院に紹介された
高齢者のリハビリ施設に入院することになった。
家から徒歩で12~3分という距離で、費用も高くない。
同じ高齢の親を抱えている友人から、
「あなた、それは宝くじに当たったようなものよ」
といわれ、羨ましがられた。
鏡の中のゾンビ 2 [普通が奇跡]
自分に人より優れているものがあるとしたら
真っ先にあげたいのは、忘れる能力!
普通が奇跡と思えた体験を
書こうとした当初の気持ちと
いまの気持ちの間には
50年くらいの月日が経ったような
そんな空白が生じている。
前は、一歩歩いても感激していた。
寝返りが普通にできることが奇跡だった。
足の爪が切れることも、
杖なしで歩けて、
普通に階段の上り下りができることにも、
いちいち感動していた。
いま、
何とも思わない。
そんな自分がすこし嫌だ。
鏡の中のゾンビ [普通が奇跡]
無事に退院して、
これでようやくゆっくりできる。
というので、しばらくは寝てばかりいた。
体力がないので料理をする元気がない。
ほとんど、お弁当とか出来合いのもの、
自分用には、病人食専門の冷凍弁当を購入して、
それを食べていた。
病室で病人食のカタログを見ていたら
担当医師から、そんなもん注文しなくていいよ。
塩分に注意さえすれば、
あとは何を食べてもいいから。
といわれていたが、
食事を作るのが面倒だったのだ。
まずくはなかったが量が極端に少ない。
しかし、
朝から、あれほど食べたかったパンを食べまくり、
珈琲を飲みまくり、
それまでめったに食べなかったフルーツゼリーなど
口当たりのいい高カロリーのものを食べて
44キロだった体重が、
たちまち61キロになってしまった。
鏡を見て、ぎょっとした。
そこに見慣れぬ婆さんがいる。
しかも、ゾンビそっくりの無表情。
数か月、いや一年以上かな、
鏡を見るたびに
「あんたは誰?」
とつぶやくようになった。