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鏡の中のゾンビ 2 [普通が奇跡]

CIMG6565のコピー.jpg


自分に人より優れているものがあるとしたら
真っ先にあげたいのは、忘れる能力!


普通が奇跡と思えた体験を
書こうとした当初の気持ちと
いまの気持ちの間には
50年くらいの月日が経ったような
そんな空白が生じている。


前は、一歩歩いても感激していた。
寝返りが普通にできることが奇跡だった。
足の爪が切れることも、
杖なしで歩けて、
普通に階段の上り下りができることにも、
いちいち感動していた。


いま、
何とも思わない。
そんな自分がすこし嫌だ。


CIMG6142のコピー.jpg


鏡の中のゾンビも、
かなり影がうすくなって
以前より老けた自分が見える。


この一週間に二度、
見知らぬ若い女性に、道を尋ねられた。


「二度もだよ」
と連れ合いにそのことを話したら、
「おそらくお前が老人だから話しかけてきたんだよ」
といわれた。


いわれて納得してしまった。


わたしも道に迷ったら、
すたすた歩き去る若者よりも、
ゆっくり歩いてくる
ひとの良さそうな(ここ強調!)年配者に
声をかける。


でも、
最近は、怖いしかめっ面をした老人が増えている。
わたしはすれ違う時、
なるべく目を合わせないようにしている。
その人の不機嫌さをまじかに見たくない。


それは誰にでも共通の心理だろうから、
少なくとも最近のわたしは、
外を歩いていても、
ゾンビ顔をしてない
ということだろう。


しかめっ面をして歩いている老人は、
身体のどこかが痛いか、
不快な症状があるに違いない。
病気が治る前のわたしがそうだった。
だから、心のなかでは同情できるのだが、
やはり、目をそらし、
道に迷っていても、やりすごし、
親切そうな人を探す。


わたしが連れ合いにいいたかったのは、
「わたしって親切そうに見えるんじゃない?」
ということだったけれど、
そんなこと自慢することかい
と軽くいなされてしまったわけだ。



退院してからいろいろあったのに、
すべてがだんだん薄くなりかけてきている。







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コメント 2

緑

色々あったようですが全て薄れていいのでは、、、
by 緑 (2019-07-16 06:28) 

ぼんぼちぼちぼち

ああ、なるほど、しかめっ面のご老人は、単に気難しかったりご機嫌が悪いのではなく
身体に不調がある場合が多いのでやすね。
勉強になりやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-18 10:39) 

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