SSブログ

人生の意義は [読書]

ばたばた、おたおたして、
笑ったり、怒ったり、怒鳴ったり、焦ったりしているうちに、
非情な時は冷酷な歩みを止めず、
書こうとした熱意も内容も薄れてしまった。


というので、記事のアップをやめる
ということが続いて、更新が遅れに遅れ、
なにをやっているのか、と友人知人は思うだろうが、
実際は何も変わったこともなく、
これまでと同じばたばたとおたおたの
ごくごく平凡な毎日が続いているのだけれど、
なんか、時間がない。
どんどんなくなる。


こまったものである。


先日は、どうしたことか、
図書館から本を借りてきたのだが、よく見ると下巻。


上下巻あるのを確かめず、
さらに下巻であることにも気づかず、
そのことに気づいたのが4日後、
というのだから、困ったものだ。


自分でもなにをやっているのか、よくわからない。



灼熱

灼熱

シャーンドル・マーライ著 
集英社




さて、
この本に感動したのも遠い昔の事に思える。
その後に何冊か本を読んでいるので、
そちらの印象が上書きされてしまったから、
だいぶ、気分が乗らなくなってしまった。


しかし、最近、めったに味わえない本格的な、
古風な文学の匂いが捨てがたいので、
やっぱり紹介する。


今時珍しい味わいなのは、
1942年に発表された作品だからだ。
さすがにわたしもまだ生まれていない。
しかも、作者マーライはハンガリー(現チェコスロバキアのコシツェ)生まれ。


登場人物は、ハンガリーの大貴族で将軍であったヘンリク。
その親友、ポーランドの貴族で大尉だったコンラード。
ヘンリクの妻、クリスティーナ。
ヘンリクの乳母、二二。


1940年、ハンガリーの森の貴族の館。
夏のある日、41年間待ちわびた親友が、館を訪れる。
地位や境遇を超えた友情に結ばれていたはずの親友が、
41年前の夏の日、突然世界の果てへと旅立ち、
行方知れずとなっていた。


物語は、再会した老人ふたりの一夜の会話で成り立っている。
いったい41年前に何があったのか、
そして、ふたりはどんな結末を迎えるのか。


ヨーロッパの田舎の貴族のけだるい雰囲気の中、
お話は徐々に息詰まる展開を見せる。


最初は、セピア色の写真を見るような展開だが、
後半に行くに従って、けっしてそのような小説ではないのに、
サスペンスが盛り上がるのだ。


わたしの感想を述べるよりも、
本の最後のほうで、ヘンリクがコンラードに問いかける
言葉を抜粋した方がいいような気がする。


「君もまた人生の意義は、
ただ情熱だけに、
ある日我々の心に、魂に、肉体に入り込み、
永遠に燃え続ける情熱にのみあると思っているのか?
その間に何が起ころうとも? それを体験した以上、生きた意味はあったと? 
情熱とはそれほど深く、それほど残酷で、それほど偉大で、それほど非人間的なのだろうか? 
ひょっとして情熱とは、人間にではなく、憧憬にのみ向けられるものなのだろうか?
これがその問いだ。
それとも情熱はやはり永遠にひとりの人間、
たったひとりの、謎に満ちた存在だけに向けられるものだろうか
―その人間がよかろうと悪かろうと関係なく、
また、その際、我々をその人間に結びつけた情熱の強さは、
その人物の特質や行動とは無関係なのだろうか? 
もし答えられるなら答えてくれ」


コンラードの答えが凄く胸にしみた。
その分量と言葉、
作者の感性と一致した感動というか・・・・・・。


読書の秋!




nice!(23)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 23

コメント 3

Sho

続きが気になります。
by Sho (2011-09-29 05:06) 

夏炉冬扇

お早うございます。
長い読み物が読めなくなって久しいです。よほど興味のあるものでないて…
私もうっかりミス増えました。
by 夏炉冬扇 (2011-09-29 07:56) 

nano

訪問nice!ありがとうございますm(__)m
by nano (2011-09-29 13:41) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。