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コブシとモクレンと頑固婆さん [草花・植物]

コブシ1.jpg

田舎の頑固婆さんの所に1週間ほど滞在して、
東京に戻ったら、コブシの花が満開になっていた。

大好きな雪柳も咲いていたが、
満開の真っ白なコブシの花が見事で、思わず見とれてしまう。

しかし、撮影できたのは道路沿いに咲いていた淡いピンクのコブシ。

実は、コブシの花とモクレンの花が似ていて、
どっちがどっちなのか、よくわからない。


コブシ2.jpg


ネットで調べた結果、比較的信用できそうなのが、

花のちいさいのがコブシ、大きいのがモクレン、
花の底が赤いのがコブシ、白いのがモクレン、
日本原産がコブシ、中国原産がモクレン、
花があちこち向いて咲いているのがコブシ、
すべて上を向いて咲いているのがモクレン、
花の下に葉がついているのがコブシ、
なにもついていないのがモクレン、

ということらしい。

わたしが撮影したのは、コブシで間違いないだろう。


コブシ3.jpg


田舎に滞在している間に、
ご近所の80歳の方がなくなり、
通夜と告別式の日程を印刷した紙が配られてきた。
婆さんは、いそいそと喪服を取り出し、
黒い靴を探し始めた。


喪服、サイズは大丈夫なのかな、
もう、着られないんじゃないかと気が気ではない。
もちろん、パンプスをはける足ではないから、
はきつぶした普段履きを引っ張り出して、
まあ、これで良しとするか、などと婆さんは独り言をいっている。


やめた方がいいのになあ、
あちらの方も、婆さんのような超高齢者にきてもらっても、
怪我をさせては大変と、つききりにならざるを得ず、
かえって気をつかわせることになるのに、
と思いつつ、わたしは口に出せないでいた。


なにしろ、誰のいうこともきかない。


コブシ4.jpg


最悪の場合、わたしが付き添うしかないか。
などと考えているところへ、町内会の方がやってきた。

「○○さん、あなたまさかお葬式にいかないでしょ」
「あら、義理があるから、わたしは行くつもりなんだけど」
と頑固婆さん。
「おおやだ。
お隣の何とかさんは、もう歳だから行けないといって、
わたしが香典を預かったのよ。
(ちなみにお隣のなんとかさんは、頑固婆さんより10歳以上若い)
それで、お宅の分も預かるつもりでやってきたんだけど。
あんた、行かないほうがいいよ。
具合が悪くなったり、転んだりしたらどうするのよ」


まあ、そんなやりとりがあって、
頑固婆さんは、この方に香典を預けて、行かないことになった。
やれ、やれ。


コブシ5.jpg


ところで、頑固婆さん、
お葬式など用に、尿漏れ対策用のパンツを1枚買ったという。

どれどれ、どんなものを買ったの。
と見せてもらうことにしたが、
確かに買ったというそれが、家中探しても見つからない。

どこにしまったか、忘れてしまったか、
買おう買おうと思いながら、まだ買ってないのを
買ったと思い込んだのどちらかに違いない。

ところが婆さん、「盗まれた」と言い出した。
これも老人の特徴のひとつ。

わざわざ、よその家にあがって、どこかにしまってある
尿漏れ用パンツを1枚だけ盗んでいく泥棒がこの世に存在するか!!!

「そんなことあるわけないでしょ」
という娘(わたしなのさ)に向かって頑固婆さんは、

「わたしは、この家に何十年も住んでいて、
どこに何があるか全部わかっているんだよ。
そのわたしが、これだけ探しても見つからないんだから、
盗まれたに決まってるじゃないの、
そんなこともわからないで」

はき捨てるようにいうのであった。

なんとなく、理屈に合っているような、
合ってないような・・・・・・。


滞在中、偶然外で出会ったご近所の奥さんに、
同居をかたくなに拒む婆さんについて、
「とにかくわたしのいうことをきかない頑固者でして」
と愚痴をこぼしたら、
数年前に同居していたお姑さんを見送った奥さんは、
「どこの年寄りもそうですよ。
頑固の塊で、誰のいうこともきかない。
年寄りはみなそうですよ」


ああ、そうなのか、
うちの婆さんだけが変わり者ではないのだと、
すこしほっとしたけれど、
自分だけは呆けていないという自信過剰ぶりが、
日々肥大しているようで、それが悩みの種である。



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miopapa

一緒にいる義父のことや
たまに覗くときの母のこと
田舎では、とにかくご高齢の方が主役で
周りにゴロゴロ
こうした人や会話、風景が・・・
 何だか考えさせられながら
 妙に納得しながら拝見しました。


by miopapa (2010-03-16 20:56) 

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