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不毛の愛 [恋愛・結婚]

いろいろとやることがあるので、
夜型が朝型にまでずれ込んで、
午前の10時や11時に寝るなどという
恐ろしい状態になってしまった。

昼間の約束などもあるが、
目のまわりに寝不足の隈をつくったまま出歩くと、
ゾンビに間違えられる危険性もある。



今日は早めに寝ようと、
お風呂を再度沸かして、
長湯すれば疲れて眠れるだろう、
という計画だったのに、
お風呂に入る寸前に、
やらねばならないことを思い出し、
はっと気づいたら、もう4時を過ぎている。



お風呂もさめてしまったに違いない。
節約家がみれば、大間抜け。
なんか、これではまずいよなあ、
一刻も早く寝ないと、カレンダーに目をやると、
今日は、もう23日ではないか。
たしか、24日の午前1時からは、
恐怖の定期メンテナンス!


ということは、
今日は、早めに記事をアップしておかないと、
いけなかったのでは!
というので、またまたパソコンの前に、
座り込んでしまった。


昨年9月、
日本で唯一の国産旅客機YS-11が、
日本の定期路線から引退した。
引退を記念して、さまざまな行事が行われて、
熱烈な飛行機ファンが大騒ぎした。


話は違うが、
引退騒動で熱くなった飛行機ファン以外に、
種類を問わず、
橋が壊されるとか、電車の路線が廃止されるとか、
引退そのものを追いかけるファンがいて、
そういう人たちを、葬式オタクというらしい。
日本のオタク文化も、ここまで来たかという感じ。


話は元に戻ってYS。
連れ合いは、熱烈な飛行機マニアではないが、
それに近いので、その興奮の現場に、
何度か立ち会うことがあって、
そのときに目撃した、
熱烈なファンの話が面白かった。


記念行事のハイライトは、ラストフライト、
飛行機オタクとYSオタクと葬式オタク、
三つ巴で、ラストフライトのチケットに群がり、
これは、予約開始と同時に売り切れてしまったらしい。
メディア関係者が顔色を変えて、
チケットが取れないと大騒ぎをしていた。
(このチケットに関して、別に面白い話がある)
それでも、せめて最後の雄姿を見ようと、
大勢の人が空港に詰め掛けたそうだ。


いくつもの路線があって、
その路線ごとにラストフライトがあるわけだが、
その路線全部を追いかけ、搭乗して別れを惜しみ、
最後の最後まで見届けたファンは、
ほとんどが立派な成人、または中年男たちで、
(高額な費用のかかる追っかけで、子どもにはできない)
仕事を休んで、追いかけているのだ。
連れ合いが、あちこちで何度も顔を合わせた
自営業者は、次の予定に向かって走りながら、
「YSが日本から姿を消してしまうんです。
9月は、仕事どころではありません」
と、叫んだそうだ。


引退したYSは、いったん羽田で整備を受けて、
フィリピンに空輸されることになった。
YSは、ジェット機と違って、長い距離が飛べない。
途中で、給油しながら飛ばねばならない。
確か(わたしは、飛行機に詳しくないのだが)
羽田から鹿児島に飛び、そこから那覇に飛び、
那覇から、フィリピンへと飛ぶのである。


熱烈なファンは、まさに最後の別れだと、
羽田に見送りにやってきた。
あるファンは、YSを見送ってから、
どうしても別れがたく、
ジェット機で鹿児島に先回りして、
YSを出迎え、
鹿児島で、またYSの離陸を見送ってから、
やっぱり別れがたくて、ジェット機で那覇に飛び、
そこでYSの飛来を待ち、
給油を終えたYSが、フィリピンに向けて飛び立つのを、
見送ったそうだ。


本当はその先まで追いかけたかったと、
本人は、連れ合いに打ち明けた。
泣ける話である。


飛行機と人間の愛、
言葉を発しない金属のかたまりである飛行機に、
これほどの想いを寄せても、
何も成立しないのである。
まさに、究極の不毛の愛。


人間の崇高な精神は、ここまで昇華するというか、
高みというか、深みというか、
そういう境地に達することができるのである。
わたしは、感動して、
思わずもらい泣きするところだったが、
実は、笑ってしまった。
ゴメン、
悪気があってのことではない。
他人の恋愛に、第三者は入り込めない。
これは、そういう崇高な行動に出られない
傍観者の自嘲をこめた笑いなのだ。

YSよ、永遠なれ!


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ロマンを感じるね~
by (2007-01-26 08:53) 

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