なんかおかしい ２ [普通が奇跡]
担当医師の予定では、
長くても２か月で退院できるはずだったが、
検査の数値が退院してもいいレベルに下がらない
というので、しきりに焦るようになった。
看護師さんもピリピリしてきた。
わたしのほうは、
専業主婦で戻らなければならない職場も
地位もありはしないので、
「先生、わたしはこの際、のんびりして、
身体を休めることにしましたから、
退院を急ぐ気はありません」
と入院当初からいっていたのだが、
いま、考えるとそれは本心ではなかったのだろうか。
自分ではそうと自覚してなかったが、
看護師さんたちの言いつけを守らないことも
入院生活にうんざりしていたせいだろうし、
それ以外にもおかしなことがあった。
このころのメモを見ると、
日に４，５回はかる血糖値の値と、
飲み物の記録、
読んだ本や雑誌の題名、
洗濯やシャワーを浴びた
家に電話して、何と何を頼んだ
というようなことがびっしり書いてあって、
判読不明な個所が多い。
それに現在の生活の流れで
このころの記憶がどんどん消えていって
思い出せなくなってきた。
退院して落ち着いて
夏物から冬物に切り替えるときのことだった。
部屋のあちこちに重なった袋などを
開けてみると、
タグが付いたままのブラウスやスカート、ジーンズ、
Ｔシャツが次から次へと出てくる。
一番驚いたのは、
オレンジ色のロングスカートが出てきたことだ。
それはもう派手な赤いに近いオレンジ色で、
こんなものいったい誰がはくの！
と思わず声にだしてしまったほど。
しかし、
誰からも洋服をもらったことなどないし、
値段のタグがついたままになっている。
どう考えても
自分が購入したとしか考えられない。
なのに、
購入した記憶が一切ないのだ。
オレンジ色のものは、
ブラウスにしろ、スカートにしろ、スカーフにしろ、
手袋、帽子、靴下の類に至るまで、
一点も購入したことがない。
オレンジ色のものは、
生まれて一度も身に着けたことはない。
身に着けたいと思ったこともない。
オレンジ色が嫌いなのだ。
第一、わたしに似合わない。
不気味だった。
いったいわたしはどういう心境だったのだろう。
そもそも
退院してどこかに出かける予定など
全く立てていない。
退院しても、しばらくは一週間に一度は
病院で検査をしなければならない。
今現在でも、ちょっとおかしい時は
一か月に一回、
結果が良ければ２か月に一回
検査のため通院している身である。
なのに、
なんだか長期の海外旅行にでも出かけるみたいに
洋服を買いあさっていたのだ。
その記憶がない。
どうやって買ったのか。
パソコンは、インターネットにつながれない状態
だったので、注文はおそらく携帯電話でしたのだろう。
手帳を繰り返し見てみると、
１回だけ通販注文１万いくらと書いてるのが見つかった。
やっぱり自分が購入したのだ。
正気を失っていない証拠に、
使ったのは自分のお金で、３万円程度に抑えてあった。
安物ばかり買い込んでいたのだ。
そういえば、
退院した直後にスニーカーを
４足か５足一度に注文して購入したことがあった。
未だに履いてない新品のスニーカーが
３足ほどある。
でかけたい、
どこかに行きたいという
潜在的な欲求のなせる業だったのか。
自分ってどういう人間なのだ？
と改めて思った。
自分が思っていた人間と違う部分がある。
何とも不思議な出来事ですね(￣◇￣;)
by middrinn (2019-06-06 06:35)
いろいろ現実とちがったことが多かったのでしょうか
by 緑 (2019-06-06 17:11)
最初の花はなんだかわからないですが次のは
ヒルザキツキミソウです。
by 緑 (2019-06-06 22:42)