自分に似た他人

外に出ると風がやたらと冷たい。


雪国からすべりおりてきたような
もう、とりつくしまがない、すきがない、
あたりを睥睨するかのような冷たさ。


ひょっとすると
雪と氷の匂いがするかな
と思ったけど
鼻水が出て、それどころではなかった。


こういう日は、
ピンクの花がいつもより何倍も可憐に見える。


あれ、
風やピンクの花の話になってしまったけど、
違うの
他人の空似について、
ちょっと不思議な話をしたかったの。




この世には、自分に似た人が３人いる
って話を、
どこかで誰かに聞いた覚えがあるんだけど、
わたしは、一人は自分のこの目で見たんだなあ。


前にブログに書いたかもしれないけど、
電車に乗っていて、
渋谷駅を発車する車内から、
誰かに見られてるという電波を強烈に感じて
振り返ったら、
駅のホームにわたしにそっくりな女性がいて、
その人も、自分に似た女性がいる！
と驚いて見ていた感じで、
電車は動いているし、
女性も歩いていて、
あっという間の出来事。
２０代の話。


もうひとりは、
家族が見ていて、
なぜか、この時も電車が絡んでいて、
わたしの兄弟が電車の中で
わたしにそっくりな女性を見て、
でも、わたしがそこにいるはずがないので、
他人だと思うのだが、
あまりにも似ていて、
もしかしてと思って、
その前を何度か行ったり来たりしたが、
相手は何の反応もしなかったので、
やっぱり他人だったのだが、
ものすごく似ていて、
思い出しても気味が悪いという話だった。


はたして３人目はどこにいるのか、
それとも、そのふたりとわたしを足して３人、
似た人間が存在するという話なのだろうか。


この話を思い出したのは、
数か月前の法事で、
似たような不思議な話をきいたからだ。


その場にいた姪夫婦が、
とても仲がいいので、
ちょっとからかったりして話が盛り上がり、
どういういきさつで結婚に至ったのか
という話になったら、
「じつは、彼女は僕の母親にそっくりなんです」
という。


ああ、マザコンね、
男が母親に似た人と結婚するのはよくある話
じゃないかと思ったら、
その程度が違った。


「妹に紹介したとき、
妹は、彼女を見たとたん泣き出したんです。
あまりに、亡き母親にそっくりだったので」
姪も
「そうなの、いきなり泣かれたの」
という。
「そんなにそっくりなの」
「そっくりなんです」


わたしも姪も、
形の整った美女ではなく、
個性的な顔立ちをしている。
なのに、そっくりな人がほかにもいるのだ。


どうしてそんなことが起きるのだろう。


この世には
名探偵にも解けない謎が
あるのだ。

タグ：他人の空似

コメント 1

私はそういう経験ありません。
それはそれで楽しいでしょ。
by 緑 (2019-01-31 10:38)