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霜月日和 [人生]

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わたしが田舎に行くたびに、
周囲の人間は、偉いわねえという。
または、それに近い意味合いの言葉を発する。
頑固婆さんはかなりの高齢だから、
介護に通っている感心な娘、と人は思うらしい。

ところが田舎に来たわたしは
介護どころか、お客さんでなにもしない。
読書とテレビ、
合間に、頑固婆さんと他愛のない口喧嘩、
あとはひたすら食べて、寝るだけである

サフラン開花3日目.JPG
開花3日目のサフラン。

早朝のゴミ出しも、出かけるときの戸締りも、
電気、ガスの点検、夜に門扉をしめるのも、
洗濯も、お風呂を洗って沸かすのも、
高齢の母親が全部ひとりでやっているのだ。

何と薄情な娘だろうと、世間は思うかもしれないが、
毎日、習慣と化している行動を奪うとリズムが狂う。
それをわたしも母も恐れているので、
とにかく、いつも通り行動してもらっているのだ。

ただし、わたしの洗濯ものは、お風呂に入ったとき
などにさっさと洗って、自分で干している。

ガス湯沸かし器のガスがつかないと思ったら、
電池が切れていたので、それを買ってきて取り換える。
無事に火がついて、お湯が出てきた。

エアコンが暖房になっているか、
電気毛布がちゃんと暖かくなるか、
わたしは、そういったことをさりげなく点検する。
そんなことぐらいしか、やらない。

頑固婆さんの楽しみは、日々の買い物である。
これも、チンすればすぐ食べられるごはんや、
レトルトカレー、冷凍食品、カップめんなど、
出かけなくても食べられる物を大量に買っておく。

チンするごはんを買うとき、3個入りと5個入りがあり、
どちらも特売とあったので、わたしは5個入りを
カゴに入れた。
すると頑固婆さんが、
「3個入りにしなさい」
という。

「えっ、なんで? わたしが持って帰るから、
5個買っておいた方がいいんじゃないの」
「あんたは、値段を見てないの?
3個入りのほうが安いじゃないの」
といわれて、改めて値段を見ると、
3個入りは、248円。
5個入りは、450円。
わたしは、数の多い方が割引率が高いと勝手に思い込み、
1個いくらか、全然計算してなかった。

さすが!
人間としてのキャリアが、わたしより30年以上もある
頑固婆さんに脱帽である。

というので、3個入りを2パック買うことになった。

わたしは、まだまだ修行が足りない。
計算能力も落ちているかもしれない。

サフラン開花4日目.JPG
開花4日目、今日のサフラン。

こんな頑固婆さんだから、
世間から年寄り扱いをされるのが大嫌いである。
孫子でもない他人から、
「おばあちゃん」などと猫なで声で話しかけられたり、
頭から、耄碌しているという態度をとられると、
カチンとくる。

そりゃあ、スーパーのレジの文字は見えない。
店員の話す声が聞こえない。
動作がのろい。
だからといって、頭が壊れているわけではないのだ。
わたしが、婆さんの年齢になったら、
やはり、同じように頭に来ると思う。

とはいえ、事実、
歳をとったというだけで、世間の風当たりが強くなる。
年寄りの僻み根性も、そういうところから生まれる。
頑固婆さんも、それなりに僻み根性健在である。
長くなったので、この話の続きは次回に。


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しーちゃん

スーパーで、値段を瞬時に計算されるお母様、それだからしっかりしていらっしゃるんですね。私も92歳の義母のお中元の買い物に付き合った時、2つ買って、金額を計算している義母に感心しました。レジで言われるままにお金を払っている自分を反省しました。
by しーちゃん (2009-11-12 01:22) 

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