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しつこく 嫉妬を克服する方法 [その他]

前回、話の流れで出てきたシェイクスピアの『オセロ』
これが気になったので、しつこく続けることにした。

シェイクスピアの戯曲のなかで、
わたしはこの『オセロ』が一番面白くない。
庶民が大文豪の作品を面白くないなどというと、
頭の悪い人間がなにを偉そうなことをいう、
と目くじらをたてる学者が必ずいるけれど、
学位論文を発表するんじゃなくて、
感想を述べてるだけなんだから、
読書、濫読、誤読は個人の自由!!



デズデモーナがあまりに単純素朴純情な女性で、
オセロの嫉妬の爆発に何の対抗も対策もとらずに、
そのままあっさり殺されてしまうのがつまらない。


ベニスの商人のポーシャ、行動的なジュリエット、
はては魔性の女マクベス夫人とか、
シェイクスピアの作品に登場する女性は、
強烈な個性を発揮する強い女性がほとんどなのに、
わたしの独断と偏見によれば、
デズデモーナだけは、歯がゆいほど存在感が薄い。


この作品で、オセロの嫉妬よりもすごいのが、
この事件を引き起こすイアーゴーの嫉妬。
自分が副官に任命されるはずと思っていたのに、
副官に任命されたのはキャッシオー。
あれほど活躍したはずの自分はただの旗手である。
本当は、俺のほうが能力も人間も一段上なのに、
世間に認められて自分よりも出世しているのは
オセロやキャッシオー。
かれらに対する嫉妬から、
この戯曲は悲劇に向かって走り出す。


オセロとデズデモーナの悲劇は褪色して、
いまは消えかかったセピア色。
人種差別などの要素を考慮に入れても、
オセロの短絡さにはいまいち共感できないのだが、
イアーゴーの嫉妬のほうは、
いまだに総天然色(なんて言葉があったっけ)、
デジタル時代になって、ますます輝きを増している。
サラリーマン社会や組織内で男や女が、
いまだにこれと同じ嫉妬に悩み、苦しめられている。


時代は誰もがみなイアーゴーの時代なのだ。


無差別殺人も、漠然とした嫉妬が動機だ。
頭のいい子供がうやらましいと学校に突入した事件、
幸せな一家を襲った通り魔事件、
学校での銃乱射も、
他人の子供を殺す女たちの背後にあるのも、
明らかに嫉妬だ。


嫉妬から発生している鬱病もあるだろう。
誰か、脳の中における嫉妬の謎を解明して、
苦しい嫉妬から解放される薬を発明してくれないものか。


まあ、できたとしてもそれは遠い将来のことだろうから、
嫉妬を克服するためには、
嫉妬という感情を冷静に分析把握して、
人間力を磨くしかないみたいだ。


また自分に嫉妬する人間に対しては、
ひとつかふたつ、相手に勝たせるという方法もあるが、
狂気に陥っている場合は、逃げるしかない。

考えれば、考えるほど嫉妬はやっかいな存在だ。


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パキちゃん

私も最初に「オセロ」を読んだとき、イアーゴーの嫉妬心の怖ろしさを、「こういう人の心もあるのか」(まだ世の中のことをあまり知らない頃でしたから)と、強烈に感じました。
でも嫉妬心の強弱は個人差がありそうですね。
by パキちゃん (2008-02-24 09:23) 

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