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頑固婆さんの秋 [人生]

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およそ一週間ばかり田舎に滞在して寒さに震え、
いきなり真夏日復活!
という17日に帰ってきた。


意気盛んで、自分は全然呆けておらず、
ますます元気だという頑固婆さんの毒気にあてられて、
ふらふらである。





車窓9月2.jpg


今年の夏は異様な猛暑つづきだったので、
熱中症の報道があるたびに、
エアコンをかけなさいという電話をかけたが、
そのたびに、
エアコンなんかいらないの、
あんたが買ってきた扇風機で大丈夫。



という返事に、ほんとに大丈夫かなあ、と
連日頭の中にもやもや、心に暗雲をかかえ、
9月に入ったら、とたんに夏バテ気味になったのだが、
田舎に行ったら、ほんとに涼しかった。



婆さんも元気だし、
確かに扇風機だけで大丈夫だったんだと
田舎に行って実感した。



東京のこの暑さはなんなのだ。



そろそろ、年齢が年齢だから子どもと同居しなさい、
という言葉には、
わたしはまだ、ぜんぜん呆けてないから、
とやっぱりとりつくしまがない。



ここには書けないが、ボケの症状は相当なもの。
こっちがそれは違うといっても、
絶対に自分の間違いを認めない。
しかし、生活にたいした支障をきたすものではない。



買い物ができて、洗濯ができて、
ゴミを出す日に、ちゃんと分別ゴミをだせて、
自分の好きなものをパクパク美味しく食べられるのだから、
確かに文句のいいようがない。



同居を強制するのは、基本的人権の侵害である。
とは、娘もわたしもわかっているのだが、
こちらにもこちらのいいぶんがある。



バスと電車を乗り継ぎ、
田舎に向かう特急の出る駅までゆき、
自由席にすわるために、
特急電車の出る30分前には、ホームでならび、
と家を出てから田舎の家に着くまで、
結局は、半日仕事になってしまう。



車ででかけても、都心を抜け出るのに1時間。
高速に乗って120キロのスピードで走って2時間。
楽な移動とはいえない。
年齢とともに危険度が高まってくる。



頑固婆さんに何か起こっても、
すぐに駆けつけることができない。
万が一、入院するようなことになったら・・・・・
と思うと、そうなるまえに同居してほしいというのが、
こちらの本音。



「どうせあんなたは、自分の都合でそんなことをいうんでしょ」
「そうよ、わたしの都合で頼んでどこが悪いのよ。
あんたが倒れたら、だれが面倒をみるのよ」
と、着いたとたんにいつもの口喧嘩が始まった。



我が家って、たがいに本音丸出しで言い合う。
そこが凄いよなあ、
と喧嘩しながら、自分でも感心してしまった。



周囲の人間には、
喧嘩が出来るほど元気なのがうらやましい
といわれる。
連れ合いも、お前と言い争って負けないんだから、
それはまだ大丈夫という証拠じゃないか、
などといわれる。


確かにそうだ。



言い争うたびに、婆さんはますます元気になって、
張り切りだすのだ。



車窓9月3.jpg



強気で頑固なくせに、最近は、
「あんたが帰るときが一番いやだね」
と正直に弱音を吐くようになった。
こちらも、頑固婆さんを一人残して帰ってくるのがつらい。




ひとり身のつらさと、ひとり身の気楽さと、
以前は、一人で暮らす気楽さの方が勝っていたのに、
だんだん、ひとり身のつらさが重くなりつつあるようだ。




車窓9月4.jpg




行きの電車も帰りの電車もひたすら眠い。



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電車の窓を流れる光景は完全に秋だ。
まったりとしておおらかな大地よ。



















タグ:頑固婆さん
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Sho

スー さんが帰られるときの、お母様の一言が切ないです。スー さんの心の中が切ないです。
私は、子供のころは祖母が、次は父が、次は母が、
それから結婚してからは又父が心配でたまりませんでした。いつもいつも不安でした。
でも本音が言い合えるというのはすごいですね。
良い方向に(何が良い方向なのかはわからないのですが)向かわれますよう、お祈りします。
by Sho (2010-09-18 10:32) 

夏炉冬扇

今晩は。
お袋も1人暮らしでした。
明治の人は強かった。
by 夏炉冬扇 (2010-09-20 19:15) 

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