真夜中の覗き魔：葉桜それから日記：SSブログ

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真夜中の覗き魔　[その他] [編集]

絶不調である。
田舎に来ているのだが、
寝不足で高速を２時間以上走って、
もともと動体視力はよくないほうだから、
ものすごい偏頭痛になった。

偏頭痛のベテランだから、
偏頭痛でも日程はかわらない。
グラグラする頭で本を読んでいるから、
周囲の人間に呆れられている。

まあ、睡眠時間はたっぷりとったけど、
かなり疲労がたまっている。
しかし、名ばかり管理職のひとにくらべたら、
相当に楽している人間だから、
こんなことを書いて申し訳ない。
とはいっても、名ばかり管理職の人は、
おそらくブログなんか見ている暇もないはずだ。

こちらに着いたその夜、お風呂に入ったときに、
靴下をさっさと手洗いしたのだが、
翌日が雨で全然乾かない。
しかも、予備の靴下を持ってくるのを忘れていた。
前日の歯ブラシと同じようなことをしている。
頑固ばあさんの靴下を借りられるからいいけど、
年寄りって、どうしてモモヒキ色=ラクダ色の靴下を買うんだろう。
この色が変で気分が落ち着かない。
一気に８０歳になったような気分になる。

偏頭痛なのに、なぜ靴下を洗ったかというと、
うっかり脱ぎ捨てておくと、
翌日、頑固ばあさんが洗濯機に放り込んでしまうからだ。
わたしの黒い靴下は、白い糸くずというか、
毛玉というか、なんかゴミだらけにされてしまう。
色物を一緒にしないでね、
といってもだめ。

別にしておいても、汚れ物と思うと、
さっさと洗濯機にほうりこんでしまう。
しかも、洗濯物が少ないから水と洗剤と、
電気代がもったいない、というおかしな理由で。

これまでに色物のＴシャツを何枚か駄目にされた。
いくら下着だといっても、
黒いＴシャツが洗濯ゴミだらけになってしまったら、
もう着る気がしないという感覚を理解しない。
世代の断絶である。

意外とおしゃれで、我々の感覚を盗んで、
黒いフリースなんかを買って平気で着るし、
お洒落な若い人用の黒いコートを上手に着こなすが、
黒いズボンをはいて、靴下がモモヒキ色=ラクダ色である。
洋服に合わせて黒とかダークグレイ、
できたらスポーティーなものを買いなさい、
といいたいところだが、
頑固ばあさんは、絶対に人の意見をきかないし、
わたしも予備の靴下を忘れなければいいのだ。

頑固ばあさんは、夜の１０時ころには、
いびきをかいて寝てしまう。
だいたい、夜中の２時ころに起きてトイレに行く。
その帰りにわたしがいる応接間をそおっとのぞく。
身体が夜型になっているので、横になると辛いだけだし、
偏頭痛がひどいとよけいに眠れないから、
田舎に来てもヤッパリ夜更かしして明け方に眠るのだ。

のぞくのを知っているから、ドアを閉めないでいる。
それで、頑固ばあさんがのぞいたときに、
わたしが、さっと振り返ると、
頑固ばあさんは、いたずらを見つかった子供のように笑う。
わたしも笑ってしまう。

田舎にきて、わたしが一番好きな瞬間だ。
母親の子供のような笑顔にほっとして、
ああ、親孝行しているなという気分になる。